【経済】岸田政権の経済対策は結局良いの?悪いの?(内容・評価)
11/19、岸田政権は初の経済対策を閣議決定しました。
このブログでは、
- 岸田政権の経済対策って、どんな内容・特徴なの?
- 岸田政権の経済対策って、結局良いの?悪いの?
について、紹介していきますので、関心があれば読んでもらえれば幸いです!
1 岸田政権の経済対策の内容について
まずは、岸田政権の経済対策の規模・内容について、説明していきます。
(1)事業規模は過去最大の大きさ
財政支出の規模は、地方負担分も含め56兆円で過去最大(これまでの最大は2020.4年の48兆円)
※民間投資も含めた規模は79兆円で、過去2番目(最大は2020.4の117兆円)
米国では110兆円のインフラ投資法案が可決しました。その規模と比べると見劣りすると思われるかもしれませんが、GDP比較で見ると他国より大きいのです(以下参照)。
(参考)コロナ発生後の各国の経済対策の事業規模(対GDP比)
・日本:54% ← 先進国の中でも大きい比率!
・米国:29%
・ドイツ:40%
規模だけで見れば、非常に大胆な経済対策と言えそうです。
(2)対策の主な内容は「コロナ対策」「成長・分配戦略」
では、具体的にどのような対策を謳っているのでしょうか。主なものを2つ挙げましょう。
1つ目は「コロナの拡大防止に向けた対策」(約22兆円)
財政支出の35%が割かれ、一番大きな対策項目です。
具体的には
- 病床確保などのための交付金
- 事業者向けの支援金や資金繰り支援
- 低所得の住民税非課税世帯への10万円支給 など
コロナ感染者のための環境整備や、コロナで困窮する事業者への救済措置が挙げられています。
2つ目は「成長・分配戦略」(約20兆円)
財政支出の35%が割かれ、こちらも非常に大きな対策項目。
特に「分配」は岸田政権のキーワードでもあるので、注目が集まりやすい対策ですね。
成長・分配戦略、それぞれについて説明しましょう。
「成長戦略」については、以下を目指すことが定められています。
- 科学技術立国の実現
- 地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」
- 経済安全保障
・・・正直よく分からないですよね、、なんだデジタル田園都市って。。(最初、田園調布かと思った)
詳細見ていくと、昨今よく新聞で出てくる「EV・蓄電池・半導体・デジタル」あたりがキーワードとして頻出していますので、この分野を成長させていきたいみたいです。
分かりやすい対策としては、
- 10兆円規模の大学ファンド設置
- 一人当たり最大2万円のマイナポイント付与
- 先端蓄電池の生産拠点への補助金 など
などがあります。
次に「分配戦略」については、たとえば
- 民間部門のおける分配強化に向けた強力な支援(賃上げ、労働移動の円滑化など)
- 公的部門における分配機能の強化(看護・介護などの収入引き上げ、子ども・子育て支援の推進など)
があります。
こっちのほうが分かりやすい。ようは「収入を上げるよう環境整備します」ってことですね。
2 岸田政権の経済対策の評価について
ではこのような岸田政権の経済対策について、世間ではどのような評価がされているのか、以下で紹介していきましょう。
(1)メリハリが効いていない
特に成長戦略。やっぱりよく読んで分からないので、焦点がぼやけている、総花的との評価が多いですね。
たとえば成長戦略の一つに位置付けられているEV。
EV普及のためには充電器が必要不可欠ですが、その普及に向けた対策を日米比較で見ると、日本は力強さに欠けることが明らかです。
<充電器普及に向けた日米の予算計上>
(米国)
「8600億円」をかけて充電設備を「50万基」設置する計画
(日本)
「65億円」を計上。補助対象は「数百~数千基」に留まる可能性
米国は、日本の130倍の費用計上です。
もともと、経済規模や人口、国土の大きさに違いがあるので、一概には言えませんが、それにしても成長分野に対する日本の対策費用はしょぼいと言えそうです。
(参考)米国のGDP・人口・国土面積の大きさ(対日本)
・GDP(経済規模):日本の約4倍
・人口:日本の約3倍
・国土面積:日本の約25倍
経済対策の内容を見ると、全般的に「選択と集中」がされていない印象があります。
「選択と集中」がなされていないため、資源が分散され、一つずつの対策効果が小さくなり、メリハリの利いた他国の対策には勝てず、中長期的な国力に差が出る。。
ということが懸念されています。
(2)バラマキ色が強い
今回の経済対策では、「18歳以下への10万円相当の給付金」など分配対策が目立ちます。
これらの対策は、一時的な消費拡大には繋がるかもしれませんが、中長期的な需要や景気拡大には繋がりません。
中長期的な成長に繋げるためには、先述したメリハリの利いた成長戦略が必要なのではとの意見が多数挙がっています。
岸田政権がよく言う「分配と成長の好循環」をどう実現させるかがカギとなってきそうです。
またコロナ対策について、(金額は巨額ですが)以前の対策では地方への交付金が、コロナ対策以外の用途に使われることがあったみたいです(交付金は自治体独自で用途を決められます)。
そのため、交付金の使い道など、見える化を図ることが課題となってきます。
成長戦略もコロナ対策も、バラマキに終わらず、その実効性・効果を挙げることができるかがカギとなりそうです。
3 まとめ(岸田政権の経済対策について)
以上、岸田政権の経済対策について、特徴をまとめると
- 事業規模は過去最大の大きさ(他国と比べても非常に大きい比率)
- 対策の主な内容は「コロナ対策」「成長・分配戦略」
- 規模は大きいが、「メリハリが効いていない」「バラマキ色が強い」という評価が多い
ということになりそうです。
4 おまけ(私の感想)
色々評価はありますが、成長戦略を描くのは難しいですね。
これは企業も一緒だと思います。どうしても総花的になりやすい。
おそらく、各省庁からあげられた要望を取捨選択できなかったのだと推察されます。
でも成長戦略が描けないと、「日本は住みづらい国になる」ことは間違いないです。
成長戦略を描けないと、たとえば国は税収が減るので、費用を減らすために社会保障費を減らすかもしれません。そうすると国民の年金受給額は減ります。また、国もにっちもさっちもいかなくなり、税金が上がることも想定されます。
企業の立場から見ても、国の成長戦略が描けないと、産業が盛り上がらず、収益が下がります。そうすると、労働者の賃金が減り、消費意欲が減り、需要が少なくなるので、企業収益はさらに下がり、そしたら賃金が減る…という悪循環が訪れます。
どんどん国民の生活が苦しくなるのです。
岸田政権は「企業が利益を分配していないのでは」との問題意識のもと、分配を重視した経済対策を打っていると思うのですが、上述のとおり、バラマキ重視だとまた来年以降も同じ問題に直面します。
結局は、国としての地力を上げるための成長戦略が必要不可欠なのです。
ただ実際、どの分野が成長するかを見定めるのは困難だと思います(私も思いつきません←当たり前か)
他国が多額かつ集中的な資金をつぎ込んでくるなか、これなら確実にいけるっていう成長戦略を描くのはなかなか難しいですよね(特に日本は少子高齢化や長期的な景気停滞で確実に国力が下がっているので)
そんななか、私がひとつ有効なのではと思っているのは、少子化対策です。
人口が増えれば、その人口増分だけ単純に需要が増えるし、社会保障の問題解決にも繋がります。
地道だが、一番効果が上がるのではと考えています(子どもが生まれた家庭にどーんと補助金を出すとか)。
最近、高齢化対策の方は「シニア層の活用」などで注目を浴びやすいのですが、少子化対策が下火になっているのが少し気になっております。
まあいずれにせよ、日本がより住みやすい国になるよう、経済政策には今後も注目していきたいと思います。